「申し訳ございませんでした!」
中原が女子風呂で全裸で土下座した。
中原は男である。
芸大の女子寮の風呂。
中原の、童貞の、こき使われたあげく、腫れあがった陰茎は、無防備に中原の下半身で鎮座し、土下座している主人とは裏腹に血管をたぎらせ、いきり立っていた。
事の経緯はこうである。前田が、女子寮でコンパを中原の為に開いたのだ。前田と中原は、まだ芸大一年で、長髪だった。二人は高校は別だが、3年の一学期から、芸大に進学がほぼ確定していたので、長髪をして大学デビューを狙っていた。入学当時は、同じ彫刻科と言うだけあって、似たような見た目で、入学から瞬時に意気投合したが、ほんの先刻、前田と女子寮の、佐伯綾とカップルが成立してしまった。
芸大の女子寮とは、世間の偏見を天秤にかけても、高校に一人か二人しかいない、酔狂なモノ好きが、多分な濃度で配合されており、女子寮に住まわない、芸大の金持ちお嬢様達は、件のすみれ壮の事を、「掃きだめ」「天罰」もしくは「地獄」と、呼んだ。
それでも、中原は、コンパなら、中の上の女子は手堅いと豪語したが、いざ、女性陣に囲まれて、酒が入ると、酒自体が初めてだったらしく、前半は、笑い上戸になり、後半は「あ、やっぱり、女性の裸、見たことないし」とクヨクヨしだし、カップルが成立して、べろんべろんに酔った、佐伯綾は、「中原、脱げ!女子風呂へ案内してやる。今のテメーに恥も尊厳も男らしさもあるかい!」と、酔った、女子、あかり、りえ、けいこに、服を脱がされ、あながち、逆セクハラとも言える行為に、前田は、あ、そうか、ここは女子寮やった。と泥酔の中、妙な合点をするのであった。
それで、中原の「申し訳ありませんでした」である。
つづく。