もつ焼き「たかぎ」(阿佐ヶ谷)
2023年 05月 25日
飛びこんだのはカウンター6席ほどのボロいもつ焼き屋。店の前で暇そうにうちわで扇ぎながらどかんと座っている巨漢のパンダみたいなおやじさん。そのなんとも言えない哀愁に惹かれて飛び込んだのだ。
メニューを眺め、とりあえず80円の串焼きメニューを数本頼みビールを飲みながら待つ。出てきたのはレアな焼き加減のかしら、はつ、レバー。どれもでかいし、うまい!レバーは臭みがまるでない。思わず「うまいっすね!」と言うと、それまで仏頂面だった大将がにっこり笑って「ぜんぶ朝シメたものしか出してないから新鮮なんですよ」とのこと。これで80円は安いわー。
店内には神輿の写真がやたら飾らせており、気になったので「お祭り、好きなんですか?」と話を振ってみた。すると目の色がギラッと変わる大将、とにかくお祭りが好きで好きでたまらないらしく、「担ぎ屋」として多い時は年間80本も関東各地のお祭りに呼ばれては神輿を担いでいるらしい。「担ぎ屋」なんていう言葉も初めてきいた。
お祭りの話からはじまり、大将の過去の話まで遡る。このお店をはじめた理由を尋ねると、障がいをもって生まれた息子の将来を懸念して、高校卒業後に親子で働ける場所を作ろうと脱サラしてはじめたのが、この小さなもつ焼き屋ということらしい。しかし、息子の高校卒業を前に離婚してしまい、離れ離れで暮らすことになったので、けっきょく大将ひとりでこの店を続けているという話も切なくてたまらなかった。
もつ焼きの味わいも大将の味わいも深いなぁ。ここ、また必ず呑みに行こうと思う。
